何かの企画や広告などを作るときに「切り口」という表現を使うことがあります。そのものの本質自体は変わらないのですが、どういう考えでどういう見せ方をするかっていうことです。そのためには、同じものをいろんな角度で見てみることが必要ですよね。
リンゴを縦、横、斜めでその切った見え方はそれぞれ変わりますよね。
ネットワーク関連会社の制作部に所属していたとき、作った複数のデザイン案に対して「これ、切り口変わらないよね」と、よくダメだしをくらいました。
ちょっと変えたくらいのものは「バリエーション」であって、切り口の違いではないんですよね。
パソコンメガネが普及した今、アプローチを変えてきたJINS
PCメガネは、パソコンなどLEDディスプレイが発する青色光「ブルーライト」をカットすることで、眼精疲労などの目や脳への影響を軽減させるメガネですね。
今はZOFFや眼鏡市場、メガネスーパーなどの競合他社もブルーライトカットのメガネを扱っています。
それら競合三社のWEBサイトを見てみました。
各社パソコンメガネの訴求内容は、
どこも同じく「眼精疲労の軽減」。
パソコンメガネのウリを、どこも同じようにうたっている。
大した差はありません。
好きなフレームがある店で作ればどこでもいいと思っちゃう。
そこでパソコンメガネの先駆けのJINSは、
他社とは違うさらに深堀したアプローチをしています。
肩こりと戦うメガネ。
寝不足と戦うメガネ。
えっ、肩こり?寝不足?
それってブルーライトと関係あったん??
それを第三機関の専門家や会社名、
数値を出すことで説得力のある深堀りの情報を出しています。
▼習慣的に使うとこりや疲れが改善されるらしいとか。
▼紫外線の次に強い光だとか(ドキッ)
▼いつも見てるスマホが一番ブルーライトが強い!?
▼う、就寝前のスマホが睡眠に影響!?
▼マイクロソフトの社員も効果を感じたと…
JINSの「実は必要だった」に気づかせるアプローチ
ここまでブルーライトについての情報は、他社にはありませんでした。
JINSの情報の見せかたは
ブルーライトカットは「眼精疲労を軽くしてくれる」 程度のものではなく、
「健康上、もはや必須」
と、強烈な必要性を感じさせますよね。
紫外線と同じ位に強い光で、
スマホのブルーライトは非常に強くて、
寝る前のスマホいじりが睡眠の質に影響されてるって知ると…
「あるといいかな〜」程度だった人を
「やっぱり買ったほうがいい!」に変えさせてます。
深堀りし、それまであまり知られてない側面を見せることで、
潜んでいたニーズに気づかせることに成功していますね。
数値や専門家による研究結果と合わせて、
自分たちの製品に信頼性がある根拠も見せている。
うちのPCメガネは
他のものと同じに見えるかもしれないけど、
実はぜんぜん違うのよ
と言わんばかりです。
まとめ
お客さまは見慣れたり聞き慣れてくると、
それに対してあまり考えたり見たりしなくなる傾向にあります。
お客さまにさらに近づくために、
それまでとは違う考え方、見せ方を考えてみることが
時には必要だということです。
JINSのPCメガネ(2013年ごろ JINS PC)のコピーは
「かければ、わかる。」
<JINS PC>
それが今は
「肩こりと戦うメガネ。」
「寝不足と戦うメガネ。」
<JINS SCREEN>
に変わりました。
スマホ利用率がPCより格段にあがり、
ブランド名から「PC」という名前をはずしました。
PCを使い続けていたら「PC最近使わないし」で
スルーされてしまいますよね。
そもそもJINSは、パソコンメガネをヒットさせた事で
メガネを使用しない人も、
メガネ屋に足をむけさせることに成功しているのです。
お客さまの生活の変化や時代の流れをふまえながら、
時に切り口(情報の見せ方、考え方)を変えることで、
新たな価値に気づかせることが
できるってことですよね。
自分の良さが伝わっていないと感じる場合、
違う「切り口」を考えてみるのも一つかもしれません。
* * * *
自分も少しでも眼精疲労を減らさないと…と思い、
ブルーライトカットのシートをノートパソコンに買いました。
目が少し楽ですね。
iPhone用には遅れて注文しました。
やや色が変わって見えるのは仕事柄ちょっと避けたいので、
メインのマシンは、シートをせず、メガネだけにしています。