ご紹介するプロジェクトは「認定講師育成ビジネス」などで、生徒さんの卒業時に手渡す「認定書(ディプロマ)」をデザインするというものです。
どのようにデザインを作り上げたか、その過程とご依頼者のご感想をご紹介します。
今回のプロジェクトの内容
今回のお客様は「重ね煮」という料理法を伝える「重ね煮アカデミー®」主宰の田島恵さんからご依頼を受けました。内容は、所定のカリキュラムを学んだ方への「修了証」、教室開催の許可を与える「師範認定書」の2種類のデザインです。
認定証はテンプレートから選んで作る簡易なものはよくありますが、ご依頼の希望はこのようなものでした。それらを踏まえた中心のミッションは「重ね煮の世界観を形する」ことでした。
重ね煮とは
「重ね煮」のコンセプトは「調和」ーディプロマに込める想い
自然の恵を丸ごといただく料理なので、野菜をモチーフとして入れたい。そして陰陽という東洋の概念があるので「和」のイメージも入れたい。それにはロゴのような感じに筆文字をメインのモチーフにする、ということを考えました。
筆文字は渋すぎず、ナチュラルでデザイン的な雰囲気に見せたいと考え、贈り文字書家の紀美来(キミクル/松原紀美子)さんに筆文字をお願いしました。
キミクルさんは書家でもありグラフィックデザイナーでもあるので、デザインを配慮した文字が書けるのと、柔らかいタッチなので重ね煮の世界にマッチしていること。それが依頼した理由です。
田島さんとキミクルさんとで打ち合わせをする中で、重ね煮とは、陰陽の野菜を鍋の中で「調和」させることで旨味を出す料理であること。大地の恵を丸ごといただく自然との「調和」の料理であること。「体が整えば心も整う」料理であること。
これらを包括するキーコンセプト「調和」。これを言葉として採用することになりました。
認定証とはいったい何だろう?と考えた時に、重ね煮アカデミーで学んだ想いを受け継ぐものではないかと。
恵さんと過ごした日々そのものが刻まれたものがいいかなとイメージし、恵さんが日頃大切にしている「調和」という言葉をディプロマに添えたらと想い、その形で仕上げました。ー贈り文字書家 紀美来さん
師範認定書と修了書、2つの違いの出し方
所定のコースを卒業した人に渡す「修了書」
教室開催を許可する「師範認定証」
違いをどのように出すか、田島さんと打ち合わせを重ね、デザインラフを詰めた結果、このようにしました。
- サイズを小さめにして特別感を
- 金箔を使って格調感を
- 色味は揃えて落ち着きを
- 紙質は表情がある厚手で重厚感を
金箔印刷ができる会社を何件か探し、柔軟に対応してくれる所を見つけました。入稿ギリギリで調整を行い、最終的にはよい形に仕上げられ、田島さんには喜んでいただくことができました。
重ね煮アカデミーを始められた頃から田島さんを存じていたので、師範の誕生は自分自身も感慨深く、想いを形にするお手伝いができて嬉しかったです。
田島恵さま 重ね煮アカデミー® のご感想
師範第1期生を送り出した後の田島恵さんからご感想をいただきましたのでご紹介いたします。
デザイナーといえばいくらでもいる中で、なぜ竹花 香を選んでいただきましたか?
重ね煮アカデミーの体験クラスをご受講してくださったこともあり、重ね煮を知っていること、また、私の重ね煮への想いや生徒さんへの想いに共感してくださったことからお願いしたいと思いました。
プロとしての仕事への姿勢もお願いするきっかけのひとつです。
ダシを取らずに蓋を閉じた鍋の中で起きる「陰陽の調和」が引き出す旨味に、自然のパワーと神秘のようなものを感じました。
ディプロマ(修了証)を作る前の構想や思いを教えてください。
ディプロマが形になり実際に生徒さんにお手渡ししていかがでしたか?
世界でひとつのディプロマができました。生徒さんへ想いと共に手渡すことができました。そして生徒さんたちは自宅に飾ってくれています。
竹花 香に依頼してよかったことを教えてください。
想いをくみ取ったデザインをしてくださること。
生徒さんに手渡せたことを一緒に喜んで下さること。
どんな方にこのような「特別デザイン」をおすすめしますか?
形だけでなく、想いと共に生徒さんへ手渡したいと想っている方、
世界でひとつだけのディプロマは最高です。
最後に一言お願いいたします。
修了証、認定証ともに素敵なデザインを作成してくださり、ありがとうございました。デザインだけでなく、紙の材質や厚みまで何度も丁寧に打ち合わせをしてくださり、世界にひとつの最高のディプロマになりました。
眺めながら額に入れている時は感無量でした。生徒さんへ想いと共に手渡すことができたことに感謝しています。
ー恵さん、すてきなご感想をありがとうございました!
まとめ
今回のプロジェクトは、依頼者の田島さんが重ね煮を通して「想いを広げていく、手渡していく」という「手渡しした時のイメージ」をしっかりお持ちでしたので、取り組みやすいものでした。
お読みの方がデザイナーにデザイン外注する場合、気をつけるべきことをお伝えします。
- 依頼したい目的、使うシチュエーションを明確に伝えてください。既存のものでイメージに近いものがあればいくつか集めて見せるようにすることで、同じものを頭に描いてもらいやすくなります。
- デザイナーの選定は注意深く。自分でイメージやデザインの方向性の指示出しを明確にできない場合は、経験のあるデザイナーの方が安全です。安い価格では思うようなものが仕上がらず時間と労力がかかる場合があります。
- 納期に余裕を持つこと。特に初めて依頼する場合はお互いに価値観やイメージを共有する必要があるためです。
想いや世界観は、形にすることで具体化され、より伝わりやすくなります。デザインにはその役割があります。ご自分のビジネスの魅力を、より多くの方に伝えたい時に、デザインを上手に取り入れるようにしてください。
田島恵さんのブログサイト
松原紀美子さんのサイト
ディプロマの写真と画像のお名前は、重ね煮アカデミー®の譲原聖子さんにご協力いただきました。お近くであればぜひ体験教室に参加してみてくださいね。
https://nanohana-seico.com/